LEDビジョンは高い性能により、多くのイベントや商業施設で重宝されています。

この記事では、屋内から屋外、透過型から床用まで、さまざまな種類のLEDビジョンとその特性を詳細に解説します。

LEDビジョンの基本情報

LEDビジョンは、赤、緑、青の発光ダイオード(LED)を用いて、フルカラーの映像を生成するデバイスです。これらのデバイスは、高い輝度と色彩の鮮やかさで、広告、イベント表示、公共情報の提供など、多岐にわたる用途で利用されています。設計は柔軟で、サイズや形状、解像度など、使用環境や目的に応じてカスタマイズ可能です。

LEDによって光る

LEDビジョンが映像を表示する根本的なメカニズムは、各LEDが赤、緑、青の光を発して色を合成し、画像を作り出すことにあります。これにより、直射日光下でも視認性が高く、広範囲から見える鮮明な映像を提供できます。

また、発光ダイオードの寿命が長いため、メンテナンスコストが低く抑えられ、長期間にわたって安定したパフォーマンスを維持できる点も魅力です。

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LEDビジョン8種類の特徴

LEDビジョンは、その多様性と応用範囲の広さで、多くのイベント会社や商業施設に採用されています。ここでは、特定のニーズに応じて最適な選択を支援するため、8つの異なるタイプの特徴を見ていきましょう。

屋内用LEDビジョンの特徴

屋内用LEDビジョンは、高い輝度と優れた視認性により、空間を魅力的に演出する重要なデバイスです。

一般的な液晶ディスプレイと比較して、5倍以上の明るさを提供し、これがイベントやライブ会場での使用に最適です。各LEDが独自に光を放つことで、鮮やかで迫力のある映像を生み出し、観客に強い印象を与えられます。また、屋内用のものは明るさの調整が可能であり、使用環境に応じて最適な視認性を確保可能です。

さらに、LEDビジョンは光の反射が少ないため、どの角度からでもクリアな視界を提供し、視聴者の目を楽にします。これらの特性は、屋内イベントにおける価値をさらに高めるものです。

屋外用LEDビジョンの特徴

屋外用LEDビジョンは、直射日光の下でも性能を発揮することが求められます。そのため、高い輝度を持ち、最大で10,000カンデラ以上というモデルも存在します。これにより、強い日差しの中でもコンテンツが鮮明に表示され、観客にはっきりとした視覚体験を提供可能です。

また、防塵・防水機能を備えており、雨や塵からLEDビジョンを保護することで、屋外の厳しい環境下でも長期間にわたって安定した性能を維持することができます。視認距離に応じたピクセルピッチの選択も可能で、見る距離に最適化された画質で情報を伝えることができるため、屋外イベントでの利用において高い柔軟性を誇ります。

透過型LEDビジョンの特徴

またの名をシースルービジョンやガラスビジョンとも呼ばれるこの技術は、透明性が大きな特長です。画面が透明であるため、光を80%以上通過させることができ、ビルや店舗の窓に設置しても室内の明るさを保つことが可能です。この特性により、建物の外観を損なうことなく、広告や情報を映し出せます。

また、透過型LEDビジョンは軽量で設置が簡単であり、特別な工事を必要としないため、設置コストを抑えることが可能です。透過率の高さから、多くの自然光を内部に取り入れつつ、鮮明な映像で視覚的訴求を行うことができるため、商業施設や公共の場での利用に適しています。

床用LEDビジョンの特徴

床用LEDビジョンは、耐久性と視覚効果の高さで注目を集めています。強化ガラスを使用しているため、破損に強く長期間にわたる使用が可能です。インタラクティブな機能を備えたものでは、タッチセンサーが組み込まれており、人が触れることで映像が変化するため、展示会や公共の施設での利用が増えています。

さらに、この技術は車の展示にも利用されており、車両と床面の映像を組み合わせることで、より魅力的なプレゼンテーションが可能です。ただし、安全性には注意が必要で、人や車が頻繁に通る場所での使用では、十分な安全対策と保守管理が求められます。

キューブ型LEDビジョンの特徴

キューブ型LEDビジョンは、独特な立体構造により、通常のフラットなディスプレイとは一線を画します。

このビジョンは、複数のパネルを立方体形状に組み合わせており、それぞれの面に映像やテキストを投影することが可能です。この多面性により、視覚的に引きつける効果が高く、店頭ディスプレイやイベントでの使用において目立つ存在感を発揮します。

また、3D映像の再生にも対応しているため、視覚的な奥行きと動きを加えることで、よりダイナミックな広告や演出が可能です。このような特性は、ファッションやデザイン関連のブランディングに有効であり、消費者の注意を引き、記憶に残りやすくする効果があります。

LEDウォールの特徴

この技術は、壁面全体をLEDで覆い、空間全体に没入感をもたらします。ピクセルピッチが細かいモデルが多く使用されるため、映像の精細さが求められる撮影スタジオなどでも採用されている技術です。

たとえば、「マンダロリアン」のような実写ドラマの撮影においても、リアルタイムでの背景演出に活用されています。この技術により、従来のグリーンバックを用いた撮影から、直接的な映像演出へと進化しています。

ただし、その規模と技術の高さから、導入コストは高価ですが、見合うだけの価値はあると言えるでしょう。このLEDウォールにより、ブランドイメージの向上や視覚的な訴求力を高めることが可能です。

3DLEDビジョンの特徴

3DLEDビジョンは、立体的な映像表現を実現する最先端のディスプレイ技術です。このビジョンの最大の魅力は、湾曲した表示面が生み出す深い立体感であり、視聴者に空中に浮かんでいるような映像を体感させます。

この技術は映像のデザイン性を向上させるため、余白を意識的に使用して映像と空間の調和を図ります。これにより、3D空間のリアリズムが増し、より没入感のある視覚体験を提供できるようになるでしょう。

ポスタービジョンの特徴

ポスタービジョンは、コンパクトなサイズでありながら高解像度の映像を提供するため、店舗やレストランなどの限られたスペースでの使用に最適です。このビジョンは、静的なポスターとは異なり、動的なコンテンツを継続的に更新することができ、消費者の注意を引きつける新しい方法を提供します。

また、簡単に設置および更新が可能で、コスト効率も高いため、多くの商業施設での導入が進んでいるビジョンです。

LEDビジョンのメリット

LEDビジョンは、その優れた特性により、さまざまな環境での使用が可能です。ここでは、主要なメリットを詳しく見ていきましょう。

ほかの映像機器よりも明るい

LEDビジョンはその高い輝度が最大の特徴の1つです。たとえば、一般的な液晶モニターの輝度は約250〜350カンデラ(cd/平米)ですが、屋外用LEDビジョンでは5,000〜6,000カンデラと、はるかに高い輝度を実現しています。

この差は、LED素子自体が光源となるためであり、これにより液晶モニターの約20倍の明るさを出すことが可能です。その結果、LEDビジョンは晴れた日中の屋外でも、鮮明な画像を維持する能力があります。

この高輝度はイベントの視覚的インパクトを大きく向上させ、観客に強烈な印象を残すことができるため、多くのイベント会社にとって重要な選択肢です。

消費電力が少ない

現代のLED技術は、光をより効率的に発生させることが可能で、その結果として消費電力が大幅に低減されます。

たとえば、44インチLEDビジョンの場合は、サイズが1,000mm×500mmの場合でも400W/hと低い消費電力で運用が可能です。これにより、長時間の使用でも電気代の節約が期待でき、経済的負担が少ないのが特徴です。

LEDビジョンのこのメリットは、大規模イベントや長期間にわたる展示会場などでの使用において、運営コストを大きく削減できます。このため、多くのイベント会社が初期投資に関わらずLEDビジョンの採用を選択している理由の1つでもあります。

どんな場所でも設置しやすい

設置の容易さも大きな魅力です。防水・防塵性能を備えた屋外用LEDビジョンは、雨や塵埃が多い環境でも問題なく機能します。たとえば、屋外イベントでの使用はもちろん、砂浜や湿度の高い場所にも設置可能です。これにより、イベント会社は場所を選ばずに鮮明な映像を提供できるため、夜間や悪天候下でも視覚的に魅力的な演出が可能です。

さらに、LEDビジョンは自発光型のため、直射日光下でも映像がくすむことなく、はっきりとした映像を保ち続けます。このようにLEDビジョンは設置の自由度の高さから、多くのシーンで活躍することが期待されています。

リフレッシュレートが高い

LEDビジョンは他の映像デバイスに比べてリフレッシュレートが高いです。この特性により、画像の更新速度が速く、動きの速いシーンでも滑らかな映像を提供します。たとえば、LEDビジョンのリフレッシュレートは最大で3,840Hzに達することがありますが、一般的なテレビやPCモニターはたいてい60Hz程度です。

この高いリフレッシュレートのおかげで、LEDビジョンは画面のちらつきや残像が少なく、スポーツイベントやライブコンサートなど、動きが激しい場面での使用に最適です。

また、この技術はカメラで画面を撮影した際にも、フリッカー(ちらつき)が発生しにくいため、テレビ放送やライブストリーミングでもクリアな映像を提供します。

サイズやレイアウトを自由に変更できる

各LEDパネルはタイルのように連結可能であり、この特性により、さまざまなサイズや形状に自在に配置できます。たとえば、縦長、横長、L字型、またはコの字型といった多様な形状での設置が実現可能です。このようにLEDビジョンは、イベントスペースに完璧に合わせてカスタマイズでき、場所の制限を受けることが少ないです。

さらに、ベゼルがないため、複数のパネルを組み合わせても継ぎ目が目立たず、1枚の大画面としての視覚効果を損なうことがありません。この点が、LEDビジョンが多くのイベント会社に選ばれる理由の1つです。また、曲面や波状、らせん状に設置することも可能であり、創造的なディスプレイ構成を実現できます。

LEDビジョンを支える要素

LEDビジョンの性能を最大限に引き出すためには、その構成要素を理解することが不可欠です。ここでは、解像度、ピクセルピッチ、輝度、視野角など、LEDビジョンの性能に大きく寄与する重要な要素を詳しく解説します。これらの要素がどのように組み合わさって、視覚的に魅力的な映像を生成するかを探ります。

関連記事:LEDビジョンの解像度とは?計算方法や選び方を解説

解像度

解像度は、LEDビジョンが表示できる画像の細かさと鮮明さを決定する重要な要素です。一般的に、解像度が高いほど、画像のディテールが豊富になり、よりリアルで鮮明な視覚体験が提供されます。たとえば、一般的なテレビやモニターで使用されるフルHD解像度は1,920×1,080ピクセル、より高品質な4K解像度は3,840×2,160ピクセルとされています。

大型のLEDビジョンで高解像度を求める場合、費用対効果を考慮した上で、イベントの目的や視聴距離に適した解像度の選定が必要です。このため、イベント会社はその用途に最適な解像度を選ぶことで、コスト効率と視覚的インパクトのバランスを取ることが求められます。

ピクセルピッチ

ピクセルピッチは、LEDビジョンの画質に直接的な影響を与える要素です。これは隣接するピクセル間の物理的距離を指し、この値が小さいほど、画面上のピクセル密度が高くなり、結果としてより細かく鮮明な画像を生成します。

ピクセルピッチが小さいLEDビジョンは、近距離での視認に適しており、展示会や店舗のディスプレイなど、観客が近くで映像を見る環境に最適です。逆にピクセルピッチが大きい場合、それは遠くからの視認に適しており、スタジアムや大規模なアウトドアイベントで有効です。

視認距離の計算方法

視認距離は、観客がLEDビジョンの映像をクリアに認識できる最適な距離を示します。具体的な計算式は、「ピクセルピッチ(mm) ×3」とされています。この計算により、たとえばピクセルピッチが2.5mmのLEDビジョンでは、最も鮮明に映像が見えるのは約7.5mの距離です。

また、コンテンツが適切に認識可能な最小限の距離、すなわち「視認確認距離」は、「ピクセルピッチ(mm)×1」で計算できます。これにより、どの程度の距離であれば視覚的な情報が失われずに伝わるかを判断することができ、イベントプランナーはLEDビジョンの配置やサイズ選びにおいてより精確な決定を下すことが可能です。

輝度

輝度は、光源から放出される光の強さを量る指標であり、この数値が高いほど、より強い光を放ちます。

たとえば、一般的な液晶ディスプレイが最大で数百カンデラの輝度を持つのに対し、屋外用LEDビジョンは数千カンデラを超えることがあります。この高い輝度により、直射日光下でもクリアな視覚体験を提供することが可能となり、野外イベントや広告での使用に最適です。

LEDビジョンを選ぶ際は、その設置環境と目的に合わせて適切な輝度を選ぶ必要があります。高輝度モデルは初期投資が高くなる可能性がありますが、視認性とインパクトは大きな価値をもたらします。

視野角

この視野角が広いほど、多くの観客が異なる角度からでもクリアな画像を見ることが可能です。大規模なイベントや公共の場での使用において、広い視野角は必須です。LEDビジョンは、水平視野角と垂直視野角の両方が広く設計されており、これにより観客が画面の側面から見ても画質の劣化が少ないため、一貫した視覚体験を提供できます。

たとえば、一般的な液晶ディスプレイの視野角は限られていますが、LEDビジョンでは160度以上の水平視野角と120度以上の垂直視野角を持つものが多く、これにより画面の前に広がる広いエリアで鮮明な画像が楽しめます。

LEDビジョンに関するよくあるトラブル

LEDビジョンの信頼性が高いことは広く知られていますが、以下のようなトラブルが存在します。

  • LEDの球切れ:LEDの球切れは、長期間の使用によりLEDが消耗し、点灯しなくなる現象です。
  • 電源ユニットの故障:電源ユニットの故障は、屋外設置のLEDビジョンで報告されることが多く、外部からの水分やほこりが原因で発生しやすいです。
  • 受信カード故障:このカードが故障すると、画面に映像が表示されなくなる場合があります。
  • HUBカード故障:HUBカードはLEDパネル内でデータ配分を行う部品で、この部品が故障すると画面の一部が正常に表示されません。

目的に合った種類のLEDビジョンを活用しましょう

この記事では、LEDビジョンの種類と特徴を解説しました。LEDビジョンは、明るさ、省エネ性、設置の柔軟性、高いリフレッシュレートなどの特性により、イベント会社や商業施設など、多くのシーンで活躍しています。

屋内外問わず優れた視認性を提供し、カスタマイズ可能なサイズや形状でさまざまなニーズに応えられます。LEDビジョンの選び方や、各種類の適切な使用場面の理解が、最適な映像ソリューションを実現するカギとなるでしょう。

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監修者
木下 大輔

<役職>キノテック株式会社 代表取締役

<経歴> 大学卒業後、三菱電機子会社でLEDビジョンのレンタル・運営業務に従事。 その後、技術取締役として映像技術会社を経て2020年にキノテック株式会社設立。