液晶パネルは、液晶においてバックライトの光を制御することにより、映像を表示するディスプレイです。液晶パネルは大きく分けると4種類あるため、ディスプレイの視野角や鮮やかさ、構成要素などによる特徴によって、液晶パネルの効果的な使用方法が異なります。

本記事では、液晶パネルの種類や特徴、おすすめの使用方法を解説します。
屋外や屋内さまざまな場所における液晶パネル選びにお悩みの方は、ぜひお読みください。

液晶パネルの基本知識

液晶パネルは、バックライトの光を制御することで映像を表示する液晶を用いたディスプレイです。現代における私たちの生活に不可欠なスマートフォンやタブレット端末、PCや屋外の大型モニターなどさまざまな場所で使用されています。

この液晶パネルは、LCD(liquid crystal display)パネルともいわれます。
また、液晶パネルはバックライトや偏光フィルターをはじめとする多くの構成要素でできており、これらの役割や、構造を知ることで違いを理解できるでしょう。

以下で液晶パネルの構成要素を詳しく解説していきます。

H3構成要素

液晶パネルの構成要素とそれぞれの役割は下記の通りです。

構成要素 役割
偏向フィルター 光を制御する
ガラス基板 電極部からの電気漏れを防ぐ
バックライト 背後から光を照射して画面を明るくする
透明電極 液晶ディスプレイを動かすときの電極
液晶 電気的な刺激を加えることによって光の通し方が変わる素材
配光膜 液晶の分子を一定の方向に並べるための膜
スペーサー 液晶を挟む基板に均一なスペースを作るもの
カラーフィルター 赤・緑・青3色のフィルターを通すことでカラーを表現する

H2液晶パネルの主流「TFT液晶」とは

液晶パネルは、液体と固体との間の状態である「液晶分子」が入っている層を、2組の偏光フィルタとガラス基盤で挟み込んでいる構造になっているパネルです。

現在、液晶パネルには「TFT液晶」方式が主に使用されています。

このTFT液晶には、3色の画素(赤・緑・青)で構成された薄膜トランジスタの略である「TFT」と呼ばれる素子を画素に配置した「アクティブマトリクス方式」が用いられています。

また、多くのTFTが電圧のスイッチとなり、小さな画素に対応する液晶層の透過率を変えることで、多彩な色の表現が可能です。

TFT液晶4種類の特徴

TFT液晶の4種類の特徴は、以下の表の通りです。

液晶の種類 特徴
TN方式 液晶層のねじれの状態を電圧の強さで制御する。

「白→黒」の応答速度が速く、消費電力が低いためコストパフォーマンスが高い。

VA方式 遮光性とコントラスト比が非常に高く、映像では深く締まった黒色が表現できる。グラフィックのきれいなゲームに最適。
IPS方式 液晶分子の垂直方向の傾きがなく、視野角の広さや色ずれのなさの面で性能が高い。サイネージやゲームの使用に最適。
ADS方式 見る位置や角度による色やコントラストの変化が少ない。視野角が広い。どこから見ても鮮明な映像が楽しめる。

以下では、それぞれ順番に解説していきます。

①TN方式

TN方式は、液晶層のねじれの状態を電圧の強さで制御し、光の透過における強さを調整する方式をいいます。
電圧オフ時の液晶分子は、それぞれの偏光フィルターの近くで同じ方向にねじれが生じている状態です。
そして、このねじれに沿ってバックライト光の偏光が回転することにより、電圧オフの状態のまま透過します。

さらに電圧を加えると、画素に対応する液晶層が垂直に立ち上がり、ねじれ構造が崩れる仕組みとなっているタイプの液晶パネルです。

メリット

TN方式のメリットは、少ない電力で高輝度を得られる電力効率の高さと、コストの安さです。構造が単純であることから比較的安価となっていることや、低い消費電力で使用できる点も魅力的です。また、応答速度の速さから、動きの速いスポーツ観戦やゲームでの使用などに非常に適しています。

デメリット

TN方式の大きなデメリットは、視野角の狭さや、色のずれや変化が生じることです。液晶分子が垂直方向に動くことにより、バックライトの透過量が見る角度によって変化しやすくなることから、その結果、視野角が狭くなります。
さらに、色再現性もあまりよくないため、液晶の縦置きに不向きとされています。
液晶パネルの縦置きを検討する場合は、選定に注意が必要です。

②VA方式

VA方式は、液晶分子に電圧をかけて垂直方向から水平方向に回転させ、傾き具合を制御してバックライト光の透過率を調整する方式です。
液晶分子はガラス面に対して垂直方向になり、バックライトの光は、電源オフの状態においてほぼ完全に遮断されます。

また、電圧をかけることにより液晶分子は徐々に水平方向に倒れていき、完全に水平になるときには最大電圧になっており、最も光が透過した状態となります。

メリット

VA方式のメリットは、遮光性が非常に高いことにより、液晶における深くはっきりとした「黒色」を表現できる点です。

このタイプの液晶は、この「黒色」だけでなく、画質自体が非常に鮮やかです。
そのため、きれいな映像が楽しめることから、動画の視聴や映画鑑賞、グラフィックのきれいなゲームでの使用にとても向いています。

デメリット

VA方式のデメリットは、映像の動きに関わる応答速度が遅いことです。
そのため、スポーツの試合などの高速に切り替わることが多い映像を楽しむ際には動きの処理が遅く、物足りなく感じてしまうことがあるかもしれません。

また、液晶分子の垂直方向の角度によって光量を調整するため、色ずれがどうしても生じやすくなることを覚えておきましょう。

③IPS方式

IPS方式は、液晶分子に電圧をかけて水平方向に回転させた状態を制御することで、光量を制御する方式です。
電圧を加えることによって液晶分子は水平方向に回転し、光を最もよく透過するようになります。

このIPS方式は、電源オフで黒色、オンで白色となる「ノーマリーブラック」を採用しています。
視野角が広く、鮮やかな色が楽しめることから、きれいで充実した映像が楽しめる液晶パネルです。

メリット

IPS方式のメリットは、視野角の広さです。
液晶分子が水平方向に動くことにより、どの位置や角度から見ても色やコントラストの変化が少なく、映像が鮮明であるところが大きな特徴です。

また、液晶を縦置きにした場合でもきれいな映像が楽しめるので、この液晶パネルは縦置きで使用したい方や、テレビ会議でのモニターやサイネージなどでの使用に向いています。

デメリット

IPS方式のデメリットは、光を遮断した状態でも光もれが発生しやすい点です。
また、視野角の広さや色ずれのなさの面において、他の液晶よりも性能がとても高くなっており、その分製造コストがかかってしまう面があります。

IPS方式の液晶パネルは非常に性能が良いのですが、費用を抑えたい方には購入が難しい場合があるでしょう。

④ADS方式

ADS方式は、IPS方式と同様に、液晶分子に電圧をかけて水平方向に回転させ、光の透過度を調整する方式を採用した、性能バランスに優れた液晶パネルです。

液晶分子が動く方向が水平方向であることから、液晶パネルを見る角度や位置の変化に対し、バックライトの透過量の影響がありません。

また視野角が広いことから、見る位置や角度の変化による色や明るさの変化が少ないため、どこから見ても鮮やかな映像が楽しめます。

メリット

ADS方式のメリットは、液晶分子が動く方向が水平方向のため、見る角度が変わってもバックライトの透過量が変化しにくい点です。

また、視野角が広く、見る位置や角度による色やコントラストの変化が少ないため、どこから見ても映像が鮮明に見えます。

一度に複数人が使用する場合や、とにかく映像がきれいな液晶パネルを探している場合にはこちらがおすすめです。

デメリット

ADS方式のデメリットは、他の液晶と比べて黒色画面で光漏れが発生しやすい点です。
コントラスト比が低くなる点が懸念されます。

オーバードライブ機能を有効にすることにより、応答速度は遅くなりますが、応答速度の高速化が可能です。

TFT液晶パネルを選ぶ際の6つのポイント

TFT液晶パネルを選ぶ際の6つのポイントは以下の通りです。

  1. ポイント①視野角
  2. ポイント②コントラスト比
  3. ポイント③色ずれ
  4. ポイント④透過率
  5. ポイント⑤応答速度
  6. ポイント⑥耐久性や防熱性

順番に解説します。

関連記事:LEDビジョンの選び方とは?観点や基本的な特徴を解説

ポイント①視野角

視野角は、水平方向と垂直方向のどこから見ても画面をきれいに見られる角度をいいます。
この視野角が広いほど、コントラストの変化が少なく、映像が鮮明に見えます。
とにかくきれいな映像を楽しむ用途には欠かせません。

ポイント②コントラスト比

コントラスト比は、画面で表示できる白黒の比率のことをいいます。
より明るい白、暗い黒とはっきりと表現でき、深い黒色の表現も可能です。
明るさと暗さがどちらも明瞭であることで、映画やグラフィックがきれいな動画、ゲームでの使用に最適です。

ポイント③色ずれ

色ずれは、見る角度によって起こる画面の色の違いをいいます。
特にTN方式やVA方式のような液晶分子が垂直方向に動くタイプの液晶の場合は、色ずれが起こりやすいとされています。
そのため、用途に色ずれが影響しないか、十分な検討が必要です。

ポイント④透過率

透過率は、ディスプレイ光を透過する割合のことを言います。
透過率が高いと発光効率も高くなることで画面が明るくなり、消費電力も低くなります。
長く使用する上では、この消費電力を抑えることも大切になるため、コストパフォーマンスを重要視する場合はとても大切な項目です。

ポイント⑤応答速度

液晶画面の色が「黒→白」そして「白→黒」と変化するまでに要する時間を応答速度といいます

応答速度が短い液晶パネルは、スポーツの試合などの動きの速い映像で残存感がなくスムーズに見たい映像を見る際の使用に適しています。

逆に応答速度に時間がかかるものは、サイネージや写真などの使用におすすめです。

ポイント⑥耐久性や防熱性

液晶パネルをデジタルサイネージとして利用する場合、屋外で使用する場合は、風や雨、飛散物などにも耐えられるように強化ガラスを使用するなど、耐久性が必要とされます。

また、電源を常につけておくためには防熱性も必要です。
クーラーやファンを搭載することにより、長時間の使用でも、熱による故障を避けることが可能です。

液晶パネルとほかの映像機器の違い

液晶パネルとほかの映像機器の違いは以下の通りです。

  1. LEDビジョン
  2. プラズマパネル
  3. 有機ELパネル

順番に解説します。

LEDビジョン

LEDビジョンは、発光ダイオードであるLEDを用いたディスプレイであり、液晶パネルよりもとても明るいのが特徴です。

バックライトを使う液晶パネルと違い、LED素子自体が発光して色を表現します。

非常に明るいことから、最近では、壁面や野外イベントなどの屋外用ディスプレイとしての利用が多くなっています。

また、液晶パネルはバックライト方式で完全な黒を表現できないのに対し、LEDビジョンでは明瞭な黒色の表現が可能です。

しかし、解像度においてはLEDビジョンよりも液晶パネルのほうが高いため、屋外よりもより鮮明な表示が必要とされる屋内用ディスプレイとして利用されやすい傾向にあります。

関連記事:LEDビジョン8種類の特徴を徹底解説!

プラズマパネル

電極を搭載した2枚のガラス板を並行に重ねたディスプレイをプラズマパネルといいます。

このプラズマパネルは、2枚のガラス板にRGBの3つのドットを挟んだ状態のセルで構成され、電極からセル内に封入したガスに電流を流し、放電させることによりプラズマを発生させます。

すると紫外線が生じ、赤・緑・青のセルに当たることで蛍光体が光り、可視光線が生じる仕組みです。

さらに、プラズマパネルは本体が発光するため、見る角度を変えても色が変化しにくく、美しく見える特性があります。

また、前面のガラスは強度が高く衝撃には強い反面、本体重量が重いことから、薄型にするのが困難といわれている点がデメリットです。

有機ELパネル

有機ELパネルは、発光体である有機EL(エレクトロルミネッセンス)を使用したディスプレイです。

構造上、部品が多いことから薄型化に限界がある液晶パネルに対し、有機ELパネルは、液晶などで必要なバックライトや放電スペースが不要なため、薄くできます。

そのため、なんといっても有機ELパネルの大きなメリットは、ディスプレイをとても薄く、設置する場所を取らない点といっていいでしょう。

さらに、1画素ごとに明るさを調整でき、黒色の表現が得意であることから、有機ELパネルを使用することによりとても鮮やかな映像の表現が可能です。

有機ELパネルは、今後も使用方法において大きな可能性が期待できるディスプレイです。

液晶パネルに関するよくある質問

ここでは、液晶パネルに関するよくある質問をまとめました。

起動方式をどのように見分ければよい?

液晶パネルの起動方式を見分けるには、上下の視野角に着目しましょう。

特にTN方式の液晶パネルは、VA方式やIPS方式のパネルに比べて上下の視野角で色が変化しやすくなっています。

視野角の広さは、映像の動きの速さだけを求めるなら問題ありませんが、きれいな映像を求める場合には必要になる要素であるため、覚えておきましょう。

防水性の有無はどのように確認できる

液晶パネルを屋外用に導入する場合は、雨風に当たることを考慮しなければならないため、故障しないで使用するためにもこの防水性能があることが大切です。

防水性の有無については、「IP保護等級」という機器の防塵や防水に関する保護等級を記号で示している項目で確認できます。

このIP保護等級は以下のとおりです。

  1. 人体及び固形異物(粉塵等)に対する保護
  2. 水の侵入に対する保護

屋内・屋外の使用に関わらず、液晶パネルを検討する際は必ず防水性能が十分に備わっている製品かどうかを確認しましょう。

まとめ

本記事では、4種類の液晶パネルの種類ごとの特徴やメリット・デメリットの面から、おすすめの使用方法を解説しました。

最近では、屋内、屋外の両方で多くの液晶パネルが使用されています。
どの液晶パネルも解像度は高いですが、価格や設置場所の特性を見ながら、液晶パネルの視野角やコントラスト比の特性に合わせて選ぶことが大切です。

また、屋外と屋内のどこに設置するかでもどの液晶パネルが良いかは異なります。

それぞれの液晶パネルの特性やメリット・デメリットを理解し、満足のいく液晶パネルをご検討ください。

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監修者
木下 大輔

<役職>キノテック株式会社 代表取締役

<経歴> 大学卒業後、三菱電機子会社でLEDビジョンのレンタル・運営業務に従事。 その後、技術取締役として映像技術会社を経て2020年にキノテック株式会社設立。