映画鑑賞やゲーム、仕事用などで利用する液晶パネル製品を選ぶ際に、VA方式・IPS方式という専門用語が書いてあり、どれを選べば良いか迷ってしまう方も少なくありません。液晶パネルには種類があり、種類によって特徴が異なるため、用途に合って選ぶことが大切です。
本記事では、液晶パネルの仕組みや特徴、種類、選び方を解説していきます。どの液晶パネルを選べば良いか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
液晶パネルとは?
液晶パネルは、テレビやコンピュータモニター、スマートフォンなど、多くのデジタルデバイスで使用されているディスプレイ技術の一つです。しかし、どのようなものなのかを詳しく理解できていない方も多いのではないでしょうか。ここでは、液晶の詳細と仕組みを解説します。
液晶とはどういうものなのか
液晶は、液体と固体の中間の状態を指します。固体は、物質を形作っている分子が一列に整列している状態であり、液体は不規則に並んでいる状態です。液晶は、どちらの性質も持ち、分子の向きに規則性がありつつ、液体のように動くこともできます。
液晶パネルの仕組み
液晶パネルとは、液晶分子が入った層の両側をガラス基盤と偏光フィルターで挟んだ表示装置です。まず、偏光フィルターは、特定の方向に振動する光のみを通す性質を持っており、液晶層を縦横に挟む形で入れてあります。
液晶パネルの層に電圧をかけると、液晶分子は向きを変えます。液晶分子の動きと偏光フィルターの向きを組み合わせて光の透過量を変え、画像を表示しているのです。
液晶分子はそのままでは発光しないため、背面に光を当てるためのバックライトを設置します。
液晶パネルの特徴
ここでは、液晶パネルの特徴を解説します。
輝度が弱い
液晶パネルは、輝度が弱いという特徴があります。輝度とは、光源からの光がどれだけ観測点に届いているかを数値化したものです。
液晶パネルの輝度は、屋内用の場合、500カンデラ(光源から出る光の強さ)程度が一般的です。500カンデラは室内での使用には十分ですが、直射日光の下では画面が見えにくくなることがあります。
屋外での使用を考慮した液晶パネルには、1,200カンデラ以上が推奨されています。そのため、屋外では液晶パネルよりLEDディスプレイが多く利用されています。
比較的安い
LEDやプラズマなど、ほかのディスプレイ技術と比較して安く手に入る点も、液晶パネルの特徴の一つです。
液晶パネルはすでに製造プロセスが確立されており、量産体制ができあがっているからです。液晶パネルは安く手に入れやすいため、家庭や企業で利用される機会が多い傾向にあります。
液晶パネルの種類
液晶パネルには、異なる技術が存在しており、それぞれに特徴があります。代表的な種類として、3つの方式を紹介します。
関連記事:液晶パネルにはどのような種類がある?特徴や選び方を解説
TN方式
TN(Twisted Nematic)方式とは、電圧の強さにより液晶分子のねじれを制御し、画面の明暗を変える方式のことで、ねじれネマティック液晶とも呼ばれています。
TN方式のメリット
TN方式のメリットは、以下のとおりです。
- 価格が安い
- 応答速度が早い
TN方式は応答速度が速いため、ゲームやスポーツなど、動きの速い映像に適しています。
TN方式のデメリット
TN方式のデメリットは、以下のとおりです。
- 視野角が狭い
- 色の再現性がほかの方式と比べて劣る
視野角が狭いと、見る角度により色が変わり画面が見えにくくなってしまいます。TN方式は、色の再現性に劣るため、正確な色表現が求められるものには不向きだといえます。
VA方式
VA(Vertical Alignment)方式とは、垂直状態の液晶分子に電圧を加え、平行に近づけることで白黒を表現する方式です。
VA方式のメリット
VA方式のメリットは、以下のとおりです。
- 黒の表現が得意
- コントラスト比が高い
- 視野角が広い
VA方式は、高いコントラスト比と広い視野角を持つため、映画鑑賞をしたい方におすすめです。
VA方式のデメリット
VA方式のデメリットは、以下のとおりです。
- 反応速度が遅い
- 画面が白っぽい
VA方式は反応速度が遅く、残像が発生しやすくなるため、早い動きの映像には不向きだといえます。
IPS方式
IPS方式とは、液晶分子を回転させることにより、バックライトの光量を調節する方式です。
IPS方式のメリット
IPS方式のメリットは、以下のとおりです。
- 発色が良い
- 3種類のなかで最も視野角が広い
IPS方式は発色が良いため、美しい映像が楽しみたい方におすすめです。
IPS方式のデメリット
IPS方式のデメリットは、以下のとおりです。
- 価格が高い
- コントラスト比・反応速度を高めにくい
IPS方式は反応速度を高めにくいため、動きの少ない写真編集や医療向けディスプレイなどに利用される傾向があります。
液晶パネルを選ぶ際のポイント
液晶パネルには種類があり、どれを選べば良いか迷ってしまうという方も多いのではないでしょうか。ここでは、液晶パネルを選ぶポイントを解説します。
ポイント①用途に合わせて選ぶ
液晶パネルは、用途に合わせて選びましょう。液晶パネルにはVA方式、IPS方式など種類があり、それぞれ特徴が異なります。画像の綺麗さを重視したいなら、コントラスト比が高く黒の表現が得意なVA方式がおすすめです。
一方、素早い動きの多いゲームをする場合は、反応速度が高いTN方式が向いています。ゲームに限らず、仕事や映画鑑賞など幅広く使用したい場合は、色彩の表現力・性能が高いIPS方式がおすすめです。
ポイント②耐久性や輝度をチェックする
液晶パネルをデジタルサイネージ用に利用したい場合は、耐久性や輝度をチェックしましょう。屋外に設置すると雨風にさらされて故障してしまう恐れがあります。また、太陽の光に負けて映像が見えにくくなるケースもあります。
耐久性の高い液晶パネルとしておすすめなのが、強化ガラスを使用した製品です。また、防塵・防水性能は、IP55、66のものを選びましょう。輝度は、屋内なら350~500カンデラ、窓際なら700カンデラ以上、屋外なら1,500カンデラ以上、直射日光が当たる屋外なら、2,500カンデラを選ぶのがおすすめです。
関連記事:デジタルサイネージの仕組みとは?導入する利点欠点も解説
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テレビやパソコンのモニターに多く利用されている液晶パネルには、VA方式やIPS方式、TN方式などの種類があります。方式ごとにメリット・デメリットがあるため、用途に合わせて製品を選ぶのがおすすめです。
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<役職>キノテック株式会社 代表取締役
<経歴> 大学卒業後、三菱電機子会社でLEDビジョンのレンタル・運営業務に従事。 その後、技術取締役として映像技術会社を経て2020年にキノテック株式会社設立。