イベント会社の皆様にとって、集客力のある演出や効果的な情報発信は重要な課題です。近年、LEDビジョンをはじめとするデジタルサイネージは、その高い視認性と柔軟な運用性から、イベント演出の必須アイテムとなっています。

本記事では、デジタルサイネージの仕組みから構成要素、種類別の特徴、導入のメリット・デメリットを解説します。最適なデジタルサイネージ選びの参考にしてください。

デジタルサイネージとは?

デジタルサイネージは、液晶ディスプレイやLEDビジョンなどの電子ディスプレイを使用して、映像や画像、文字情報を表示するシステムです。従来の紙製ポスターや看板と異なり、デジタルデータを活用することで、動的な情報発信が可能になります。商業施設や交通機関での広告表示から、イベント会場での演出まで幅広く活用されているものです。

イベント業界では、会場の雰囲気作りや来場者への情報提供、スポンサー広告の表示など多様な用途で導入が進んでいます。リアルタイムでコンテンツを更新でき、天候やプログラムの変更にも柔軟に対応可能です。

関連記事:デジタルサイネージとLEDビジョンの違いとは?

デジタルサイネージの仕組み

デジタルサイネージは、コンテンツ管理システム(CMS)でコンテンツを作成・管理します。ネットワークまたは記憶媒体を通じて、メディアプレーヤーに配信する仕組みです。メディアプレーヤーは受信したデータを処理し、ディスプレイに映像として出力します。

この一連の流れ、とくにネットワーク型やクラウド型を利用することで、遠隔地からでもコンテンツの更新や配信スケジュールの管理が可能です。イベント運営では、開催前の告知から当日のタイムテーブル表示、終了後の御礼メッセージまで、状況に応じた情報配信ができます。クラウド型システムを利用すれば、複数会場の一元管理も実現でき、大規模イベントでも効率的な運用へとつながります。

デジタルサイネージの構成要素

デジタルサイネージは、おもに以下3つの要素で構成されています。ネットワークを利用する場合は、これらに加えてネットワーク機器が必要です。

構成要素詳細
ディスプレイ情報を表示する画面サイズや輝度は設置環境に応じて選択
メディアプレーヤー(STB)コンテンツを再生する小型コンピューターディスプレイに再生機能が内蔵されている場合(SoC:システムオンチップ)と、外付けの場合がある
コンテンツ管理システム(CMS)コンテンツの作成・配信・管理を行うソフトウェア
ネットワーク機器(ネットワーク型の場合)各要素を接続遠隔でのデータ通信を可能にするためのルーターやLANケーブルなど

これらが連携することで、効果的な情報配信システムが実現されます。

デジタルサイネージの種類

デジタルサイネージは、それぞれに得意なことや設置に適した環境が異なるため、導入目的を明確にして選ぶことが大切です。

ここでは、代表的な3つのタイプを解説します。

  • スタンドアロン型
  • ネットワーク型
  • インタラクティブ型

特徴を理解し、用途や運用体制に合ったものを選びましょう。

スタンドアロン型

USBメモリやSDカードなどの記憶媒体を使用して、コンテンツを再生するタイプです。ネットワーク接続が不要なため、導入コストを抑えられますが、業界ではネットワーク型への移行が進んでいます。

設定は簡単ですが、リアルタイムでのコンテンツ更新ができません。そのため、現在では通信環境が整備されていない、特殊な環境での利用に限定される傾向があります。

ただし、コンテンツの更新には物理的に記憶媒体を交換する必要があり、頻繁な更新を要する場合は不向きです。屋外イベントなど、ネットワーク環境が整備されていない会場でも確実に動作するのは大きな利点といえます。

ネットワーク型

インターネットや社内LANを通じて、コンテンツを配信・管理するタイプです。複数のディスプレイを一元管理でき、リアルタイムでの更新が可能なため、大規模イベントに最適です。本部から各会場への一斉配信や、時間帯に応じた自動切り替えなど、高度な運用へとつながります。

クラウドサービスを利用すれば、どこからでもコンテンツの管理ができます。初期費用は高めですが、運用効率の向上により長期的にはコスト削減になることも多いです。緊急時の情報更新やスポンサー広告の差し替えなど、イベント運営の柔軟性を大幅に向上させます。

インタラクティブ型

タッチパネルやセンサーを搭載し、来場者との双方向コミュニケーションを実現するタイプです。画面をタッチして情報を検索したり、人の動きに反応して表示内容が変化したりする機能を持ちます。イベント会場では、会場マップの拡大表示やブース検索、アンケート収集などに活用されています。

来場者の興味を引きやすく、体験型コンテンツとしても効果的です。設置コストは高めですが、来場者エンゲージメントの向上や、利用状況のデータ収集によるマーケティング活用が期待できます。

デジタルサイネージの活用例

デジタルサイネージは、その高い表現力と情報更新の柔軟性を生かし、さまざまなシーンで活用されています。広告や販促活動はもちろんのこと、情報案内や空間演出に至るまで、用途は多岐にわたります。

ここでは、具体的な4つの活用シーンを取り上げました。

  • 屋外広告
  • 情報案内
  • 飲食店のメニュー表示
  • 空間演出

それぞれ見ていきましょう。

屋外広告

店舗や商業施設の壁面、イベント会場の入り口などで、販促や広告を目的とした屋外広告として活用されています。動画や音声を伴うダイナミックな表現は、街中のさまざまな景色の中でも視認性が高く、通行人の注目を集めます。これにより、店舗への集客や売上向上につながるでしょう。

ただし、屋外に設置する場合は注意が必要です。風雨や気温の変化に耐えられるよう、防水・防じん機能を備えた屋外専用のサイネージを選ばなければなりません。とくに輝度については、屋外でも十分な視認性を確保できる高輝度ディスプレイが欠かせません。

情報案内

デジタルサイネージは、情報案内ツールとしても優れた機能を発揮します。たとえば、商業施設のフロア案内や、交通機関のリアルタイム運行情報、病院の診察待ち状況などを表示することで、利用者の利便性を高めます。

オフィスでは、従業員への情報共有や安全喚起に役立ち、ペーパーレス化も促進できるでしょう。タッチパネル式を導入すれば、利用者が求める情報を自ら操作して得られるため、受付業務の効率化やインバウンド対応にも効果的です。

飲食店のメニュー表示

飲食店では、店頭のメニューボードとしてデジタルサイネージが活躍します。ランチやディナー、日替わりなど、時間帯や日にちによって変わるメニューの更新が、手元のパソコンから簡単に行えます。

これにより、メニューを印刷し直す手間やコストを大幅に削減できるでしょう。シズル感のある料理の動画を流せば、通行人の食欲を刺激し、入店を促す効果も期待できます。また、混雑状況や席の空き具合を表示することで、顧客満足度の向上にもつながります。

空間演出

情報を伝えるだけでなく、その場の雰囲気を創り出す空間演出にもデジタルサイネージは利用されます。アパレルショップでは、ブランドイメージに合った映像を流して世界観を表現可能です。

商業施設やテーマパークでは、季節感のあるコンテンツやプロジェクションマッピングで、非日常的な空間を創出します。イベント会場においても、ステージの背景映像として活用すれば、アーティストのパフォーマンスをより魅力的に見せられます。

デジタルサイネージを導入するメリット

デジタルサイネージの導入は、従来の広告媒体に比べて多くの利点をもたらします。

ここでは、導入によって得られるメリットを3つ紹介します。

  • メリット①表示内容を柔軟に変更できる
  • メリット②視覚と聴覚の両方に訴えられる
  • メリット③配信する日時を設定できる

詳しく見ていきましょう。

メリット①表示内容を柔軟に変更できる

最大のメリットは、表示内容を柔軟かつ迅速に変更できる点です。紙のポスターのように印刷したり、貼り替えたりする手間やコストはかかりません。ネットワーク型のサイネージであれば、手元のパソコンから遠隔操作が可能です。

急なセール情報やイベントの変更、新商品の告知など、鮮度が求められる情報を即座に反映させられます。これにより、常に最新の情報をターゲットに届けられ、機会損失を防ぐことにつながるでしょう。

メリット②視覚と聴覚の両方に訴えられる

静止画が中心のポスターとは異なり、動画や音声を活用できるのも大きな強みです。動きのある映像は本能的に人の注意を引きやすく、アイキャッチ効果が高まります。多くの情報が溢れるイベント会場などでも、ターゲットの視線を集められるでしょう。

さらにBGMやナレーションを加えれば、より多くの情報を効果的に伝えられます。映像と音で臨場感を演出し、商品やサービスの魅力を深く印象づけられます。

メリット③配信する日時を設定できる

事前に配信スケジュールを設定できる点も、運用面での大きなメリットです。CMS(コンテンツ管理システム)を活用すれば、「休日はファミリー向けの案内」といった、ターゲットに合わせた情報発信が自動で行えます。

特定の時間に限定したタイムセールの告知なども簡単です。一度設定すれば、あとはシステムが自動で表示を切り替えるため、運用の手間を大幅に削減しつつ、広告効果の最大化を図れます。

デジタルサイネージを導入するデメリット

多くのメリットがある一方で、デジタルサイネージの導入にはいくつかのデメリットも存在します。「導入したけれど活用しきれない」という事態を避けるためにも、事前に課題を把握し、対策を検討しておくと安心です。

ここでは、あらかじめ理解しておくべき3つのデメリットを解説します。

  • デメリット①コストがかかる
  • デメリット②電気が必要である
  • デメリット③故障のリスクがある

それぞれ見ていきましょう。

デメリット①コストがかかる

デジタルサイネージの導入には、一定のコストが発生します。ディスプレイやSTB(再生プレイヤー)といった機材の購入費や設置工事費などの「初期費用」が必要です。加えて、月々の電気代やCMSの利用料、コンテンツの制作費といった「ランニングコスト」もかかります。

ポスターなどのアナログ媒体に比べると、初期投資は高額になるケースが多いでしょう。そのため、導入の際は短期的な視点だけでなく、長期的な費用対効果を慎重に検討しなければなりません。

関連記事:デジタルサイネージの価格や費用を抑えるコツを解説

デメリット②電気が必要である

デジタルサイネージは電子機器であるため、当然ながら稼働には電力の供給が必須です。このため、設置場所は電源を確保できる場所に限定されてしまいます。とくに屋外や広いイベント会場で利用する場合は、電源の位置や容量、配線工事について事前に詳細な計画を立てる必要があります。

また、24時間稼働させる場合、電気代も考慮しなければなりません。万が一の停電時には表示が消えてしまうという点も、あらかじめ理解しておくべきデメリットといえるでしょう。

デメリット③故障のリスクがある

精密な電子機器である以上、故障のリスクは常に伴います。ディスプレイが映らなくなったり、システムに不具合が生じたりする可能性はゼロではありません。とくに屋外環境では、雨風や直射日光、気温の変化によって故障のリスクが高まります。

重要な情報を発信している際に表示が消えてしまうと、大きな機会損失につながるおそれも。万が一の事態に備え、迅速に対応してくれる保守・メンテナンス契約を結んでおくのが無難な選択です。

デジタルサイネージを導入する流れ

デジタルサイネージの導入を成功させるには、計画的な進行が不可欠です。一般的には、以下のステップで進めていきます。まず「何のために、誰に、何を伝えたいか」という目的を明確にすることがすべての土台となります。

次に、その目的を実現できる専門業者を選定し、具体的な相談を開始。機器の種類やコンテンツ内容、設置場所を決定したら、契約後に設置工事と初期設定を行います。そして運用を開始し、定期的に効果を測定しながら改善を重ねていくという流れです。

導入後も定期的な効果測定と改善により、投資効果を最大化できます。全体のスケジュールは余裕を持って組むことが成功の秘訣です。

デジタルサイネージの費用相場

デジタルサイネージの費用は、機器購入などの「初期費用」と、運用にかかる「ランニングコスト」に大別されます。仕様や運用方法で価格は大きく変動します。

項目費用相場
初期費用ディスプレイ55インチ(屋内):7万円~ディスプレイ55インチ(屋外):50万円~設置工事費:5万円~
ランニングコストCMS利用料(月額):数千円~コンテンツ制作(静止画):1万円~コンテンツ制作(動画):10万円~

USBで手動更新するスタンドアロン型は安価ですが、遠隔操作できるネットワーク型はSTB(再生機)やCMS費用が発生します。目的に合わせ、総所有コストを考慮しましょう。

デジタルサイネージを導入する際の注意点

デジタルサイネージは、ただ機器を設置すれば効果が出るというものではありません。「導入したものの、期待した成果につながらない」という事態を避けるため、運用面でのポイントを事前に押さえておく必要があります。

ここでは、とくに注意すべき3つの点を説明します。

  • コンテンツの質と更新頻度
  • 視認性の確保
  • 法的規制の遵守

詳しく見ていきましょう。

コンテンツの質と更新頻度

サイネージの効果は、放映するコンテンツの質に大きく左右されます。ターゲットの関心を引く魅力的な映像でなければ、すぐに飽きられてしまい、効果は得られません。

古い情報がいつまでも表示されていると、企業のイメージダウンにつながるおそれも。常に新鮮で価値のある情報を発信し続けるため、コンテンツを誰が、どのくらいの頻度で制作・更新するのか、運用体制を事前に整えておくことが重要です。

視認性の確保

どれほど優れたコンテンツを制作しても、視聴者に見てもらえなければ意味がありません。サイネージを設置する際は、周囲の環境に留意する必要があります。たとえば、日差しの強い屋外では輝度の高いディスプレイを選ばないと、画面が白飛びして見えにくくなります。

また、通行人の目線の高さやおもな導線を分析し、最適な設置場所や画面サイズを決定することも大切です。環境に合わせた機器選定と設置計画が、効果を最大限に引き出します。

法的規制の遵守

とくに屋外にデジタルサイネージを設置する場合は、関連する法律や条例を必ず確認しなくてはなりません。多くの自治体では、広告物の大きさや高さ、表示内容などを定めた「屋外広告物条例」が施行されています。これに違反すると、撤去命令や罰則の対象となる可能性があります。

また、地域の景観を守るための「景観条例」にも配慮が必要です。設置を計画する段階で、必ず管轄の自治体の担当部署に問い合わせ、規制内容を確認しましょう。

まとめ

インパクトのある映像演出は、イベントの価値を大きく左右する重要な要素です。とはいえ、LEDビジョンの導入にはコストや設営、当日のトラブルといった不安がつきものでしょう。

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監修者
木下 大輔

<役職>キノテック株式会社 代表取締役

<経歴> 大学卒業後、三菱電機子会社でLEDビジョンのレンタル・運営業務に従事。 その後、技術取締役として映像技術会社を経て2020年にキノテック株式会社設立。