デジタルサイネージとは、屋外や店頭、公共の場において映像で情報発信する電子メディアです。
「パチンコの大型店の屋外などでみられる大型のデジタルサイネージは、どのくらい費用が掛かるのだろう?」
デジタルサイネージを探しているイベント会社の担当者は、デジタルサイネージの価格相場や費用がどのくらいになるのか気になるところではないでしょうか。
今回は、デジタルサイネージの価格や費用を抑えるコツを解説します。費用については、導入費用と運用費用の2つに分けて紹介します。
デジタルサイネージの基本情報
デジタルサイネージとは、屋外や店頭、公共空間や公共交通機関などの場所で、映像で情報発信する電子メディアです。デジタルサイネージを導入することで、従来の紙媒体ではなし得なかったことができるようになります。具体的には、以下のような内容です。
- ・即時性と柔軟性:リアルタイムで企業が提供したい情報を更新できるため、ターゲットに直接訴えかけられる
- ・高い訴求力:動画やアニメーションを利用するため視認性が高く、目に留まりやすい
関連記事:デジタルサイネージの仕組みとは?導入する利点欠点も解説
種類
デジタルサイネージの種類は、大きくわけると3つあります。どのような特徴があるのか、以下の表で解説します。
種類 | 特徴 | インターネット接続 |
スタンドアローン型 | ・再生機器・記憶媒体(USBメモリ・SDカードなど)に保存したものをコンテンツとして表示する
・リアルタイムでの情報共有を必要としない場合におすすめできる |
不要 |
ネットワーク型 | ・インターネット経由でコンテンツを配信するため、情報の一括保存・管理ができる
・情報の更新頻度が高い場合やデジタルサイネージを複数台設置するときにおすすめできる |
必要 |
インタラクティブ型 | ・タッチパネルなどの機能を搭載しているため、管理者とユーザーとの双方向コミュニケーションが可能となる
・他の種類と比べると多機能なため、導入コストが高くなりやすい |
必要 |
デジタルサイネージの価格はどのくらい?
デジタルサイネージの導入に必要なおもな費用は、以下のとおりです。
- ・ディスプレイの費用
- ・ディスプレイスタンドの費用
- ・記憶媒体の費用
- ・STBの費用
- ・運用にかかる費用(電気代・インターネット回線の月額費用)
- ・コンテンツの制作費用
- ・工事費用
それぞれについて、価格相場とともに詳しく解説します。
ディスプレイの費用
ディスプレイは、自社の商品やサービスの映像や宣伝広告を流すモニターです。設置場所によって屋内用と屋外用に分けられます。
導入費用の価格相場は、屋内用だと10〜40万円程度、屋外用だと50〜300万円程度といわれています。屋外用のディスプレイは屋内用のディスプレイと比べて機材の耐久性が違うため、高額になりやすいのが特徴です。
ディスプレイスタンドの費用
ディスプレイスタンドを別途用意する場合は、さらに2〜20万円程度の追加費用がかかるといわれています。特注する場合は、さらに費用が変わってくるでしょう。
例:低床型スタンド、イーゼルスタンド、フロアスタンド、ケーシングスタンド
記憶媒体の費用
スタンドアロン型のデジタルサイネージは、ネットワーク型やインタラクティブ型と異なりインターネット環境が不要です。USBメモリやSDカードなどの再生機器・記憶媒体に保存したコンテンツがあれば、すぐに運用を開始できます。
USBメモリやSDカードの価格相場は、500円〜1万円程度といわれています。容量や書込(読込)速度などによって費用は変わっていくでしょう。
STBの費用
STB(Set Top Box「セットトップボックス」)とは、インターネットを通じて映像や画像などディスプレイのコンテンツを受け取って表示させる機材です。
STBは配信スケジュールを管理して、表示コンテンツを流したい時間に合わせられます。特定の時間帯にセールやお得情報を流すなど、タイムリーな情報提供が可能です。また、遠隔かつ一括管理して無人で連続再生ができるため、コスト削減にもつながります。
STBの価格相場は、3〜25万円程度といわれています。
運用にかかる費用
デジタルサイネージを導入したら、運用するための費用がかかります。導入費用だけではなく、運用費用も考慮して導入を検討しましょう。具体的には、以下の費用です。
電気代
デジタルサイネージを導入すると電気代がかかり、価格相場は一台につき毎月2,000円程度といわれています。
ディスプレイの価格は、大きさより設置台数によって変わります。そのため、デジタルサイネージの導入による集客・販促効果と電気代の費用対効果を考慮してどれを選ぶか検討するとよいでしょう。
インターネット回線の月額費用
ネットワーク型やインタラクティブ型のデジタルサイネージを利用する場合は、インターネット回線の月額料金がかかります。価格相場は、オンプレミス型(社内LAN内の専用サーバを利用)とクラウド型(インターネット上のサーバを利用)によって変わります。
オンプレミス型は、STBとサーバを接続するLANケーブルやWi-Fi環境が必要です。ただし、インターネット回線は不要です。一方で、クラウド型はインターネット回線が必要なので、月額料金がかかります。光回線を使用する場合、毎月4,000〜6,000円程度が相場といわれています。
コンテンツの制作費用
デジタルサイネージに表示するコンテンツを外注する場合は、企画・制作費用がかかります。価格はコンテンツの内容や制作業者によって変わるため、見積もりを出して確認することをおすすめします。
コンテンツ制作の価格相場は、一般的に静止画だと2〜3万円程度、2〜3分の映像は10万円以上になるといわれています。
工事費用
デジタルサイネージを設置する場所によっては、工事費用がかかります。価格相場は、見積もりを出すまでハッキリしないため、ケースバイケースといえるでしょう。
デジタルサイネージの費用を抑えるコツ
デジタルサイネージを導入・運用する上で、費用対効果を意識することが重要です。以下では、デジタルサイネージの費用を抑えるコツは、以下のとおりです。
- ・目的に合うディスプレイを選ぶ
- ・スタンドアローン型を使う
- ・リースで導入する
- ・自社で用意できるものが無いかを確認する
それぞれについて、詳しく解説します。
コツ①目的に合うディスプレイを選ぶ
デジタルサイネージを導入する目的に適したディスプレイを選びましょう。
価格相場からしても、ディスプレイの費用がもっとも高価と考えられます。ただ、高価なディスプレイが最適かどうかは、導入してからどのように運用していくかで変わっていくでしょう。デジタルサイネージの導入前には、運用イメージを想定しておくことも大事です。
コツ②スタンドアローン型を使う
ネットワーク型やインタラクティブ型と比べて、スタンドアローン型は初期導入費用が安い傾向にあります。本体以外に必要なのは電気代などであり、インターネット接続のコストはかかりません。
また、設置台数を少なく見積もっている場合にも、スタンドアローン型がおすすめできます
コツ③リースで導入する
もし、短期的にデジタルサイネージを使用したい場合は、デジタルサイネージを購入するのではなく、レンタルサービスを利用することも手段の一つです。最短で一日からディスプレイやSTB、CMSなど必要なもの一式を借りられる、設置撤去・運送作業もサービスに含まれていることがあります。
あらかじめ短期間のみ使用することが決まっている場合は、レンタルサービスの利用も検討しておくとよいでしょう。
※CMS(Content Management System「コンテンツマネジメントシステム」)
HTMLやCSSなどプログラミングにおける専門知識がない人でも、簡単にコンテンツを一元的に保存・管理できるソフトウェアの総称
コツ④自社で用意できるものが無いかを確認する
PowerPointやPhotoshopなどの編集ソフトが使えるのであれば、ディスプレイに表示させるコンテンツを自作することもおすすめです。手間がかかる分、金銭的コストの削減が期待できます。
ただ、専門的知識が必要なので、誰でも簡単にできないのが難点です。プロが制作したものと比較すると違いが明白な場合は、特別なこだわりがない限り外注依頼するほうがよいでしょう。
デジタルサイネージを選ぶ際のポイント
さまざまなデジタルサイネージ製品があるため、自社にとって最適な製品を選ぶポイントはどこにあるのでしょうか。以下で解説します。
ポイント①必要なスペックを見極める
自社がデジタルサイネージを設置する上で、必要なスペックを事前に見極めておきましょう。設置場所や表示コンテンツによって、最適なスペックは変わってくるでしょう。
また、将来のことを考えて、接続性能や拡張性にも着目して検討することをおすすめします。
ポイント②価格と性能のバランスを考える
デジタルサイネージを選ぶときは、製品の価格と性能のバランスを考えましょう。たとえば、長期的運用を考えているのであれば、初期費用が高額だとしても高性能な製品を選んだほうがメンテナンスは容易であったり消費電力が少なかったりします。
また、将来のことを考えると、世の中の流れやニーズの変化に対応しやすい製品を選ぶことも大事です。
デジタルサイネージの価格相場を把握し自社に最も適したものを選択しよう
今回は、デジタルサイネージの価格や費用を抑えるコツを解説しました。
デジタルサイネージは、導入費用や運用費用が多くかかるため、デジタルサイネージを導入する目的を明確にし、自社の予算に応じて価格相場や費用対効果をよく検討してから選ぶことをおすすめします。また、費用を抑えるためには、表示コンテンツを自作することやデジタルサイネージのレンタルサービスを利用することも検討しましょう。
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<役職>キノテック株式会社 代表取締役
<経歴> 大学卒業後、三菱電機子会社でLEDビジョンのレンタル・運営業務に従事。 その後、技術取締役として映像技術会社を経て2020年にキノテック株式会社設立。